クジラは歌う

周りを、一瞬にして消化してしまうような笑顔。
そういうのを携えているから君はドンづまってしまうんだ。
ある日、私はクジラにそう言ってやった。
ずっと言いたかったことだ。
後悔はない。
すっきりした。
クジラは何も言わない。
もちろんクジラだから当然だ。
アミをしゃーしゃーと吸い込んで、ふとしたついでにピノキオも吸い込んで、あとは胃に任せろ、そういう奴だ。
そして、あの笑顔。
殴り倒してしまいたくなる、あの笑顔。
だから、言ってやったんだ。
ちょっとうろうろして、ちょっと泣いて、ちょっとくじけて、いいとこそこ止まりなのがわかっているから。
そんな唇の動きまで支配されたような笑顔を携えているから、支配とはなにかを知らないままに支配をくどくど批判して、浜にでもなんにでも打ち上げられて、グリーンピースの連中に立派な追悼までおこなってもらうような最期を迎えるんだ。
私は気づくと泣いていた。
怒っているからだ。
そして、クジラなんかと知り合ってしまった運命を呪っているからだ。
ここは寒くてやりきれないことにも起因しているかもしれない。
それもこれも、クジラのせいだ。
クジラの口車にまんまとのせられて、こんな所まで来てしまった。
家ははるか向こうに、思い出されることもやりきれないという具合だ。
クジラよ。
そんな風に笑っていたいなら笑っているがいい。
私はもうこりごりだ。
クジラよ。
君はどうしてこんな風にしかいられないんだ。
勝手に竜宮城の夢でもみているといい。
クジラよ。
歌え。
声の限りに、どうか歌え。
そんな笑顔を放っておいて、どうか歌え。
歌え。
歌え。
歌え
歌え。

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